オオイチモンジ!
オオイチモンジの黒化型は北海道大雪山周辺での異常個体として注目され、毎年オオイチモンジのシ―ズンにはこの異常型を求めて、多くの採集者が地元の北海道は勿論、全国から集まってくる。
オオイチモンジの黒化型は昭和3年(1928年)に長野県上高地で発見されたのが初めての記録であり、その後1988年に長野県八ヶ岳で記録されている。
オオイチモンジ黒化型、通称クロオオイチモンジとは、通常の班紋とはかけ離れたもので、白帯が消失する個体であるが、この消失具合の程度により、G1より G5に分類される。 このグレードの定義は、
G1・・後翅裏面中室の白帯にある縦長の灰色紋が黒化する。
G2・・さらに後翅裏面7室の白帯内側にある横長の灰色紋が黒化する。
G3・・さらに後翅裏面の白帯が半分程度、またはほとんど消失する。
G4・・後翅裏面の白帯が全くかほとんど消失し、各室は茶色、または黒色の流紋に覆われるが、前翅裏面に明瞭な白紋が見られる。
G5・・裏面の前後翅の白紋が全くかほとんど消失する。
これらの定義にはまる個体は多くの記録が発表されているが、ほとんどの記録は♂であり、♀の記録はG4の記録が1例あるのみで、私が2011年に採集した♀のG5は初記録である。
私は黒オオイチモンジを本格的に狙っての採集ではなく、北海道採集ツアーとして毎年何人かの案内であり、他の採集者のように早朝から競って場所取りをし、1日中オオイチモンジだけを狙っての採集ではない。採集ツアー参加者には北海道が初めてという人も少なくなく、長野県だと天然記念物指定で採集できないコヒオドシやベニヒカゲ、クモマベニヒカゲなどのほか北海道特産種の採集を午前中にし、午後からオオイチモンジを狙うというスケジュールでの採集がほとんどである。
当然オオイチモンジの飛来場所は朝からオオイチモンジだけを狙っての採集者に押えられており、入る余地もなく、特に♂の飛来する確率が高い、各林道の橋には確実に採集者が張りついている。 ツアー参加者はオオイチモンジを採集したことのない人も多く、♂でも満足するがやはり♀を採りたい欲望は強く、♂と♀では飛翔、活動地域が異なるため、♀の飛翔コ―スや溜まり場は意外と知られておらず、私が狙う場所は午後からでも十分狙える。
大半の採集者はリンゴトラップを利用しているが、ツアーでは私が造るバナナやパインを原料ベ―スにしたトラップを東京から持参して使用している。
黒化型は福島県のウスバシロ、新潟県のフタスジチョウ、イチモンジチョウなど地域により毎年確実に発生するものや、モンキチョウ、アゲハチョウ、ギフチョウなどのように突然変異的に稀に出現するものなどがあるが、異常型としては比較的多く、基本的に低温されたことからの出現が高い。オオイチモンジの黒化型は私も20年ほど前に低温処理してかなりの数を作ったことがある。
黒化型は低温処理で作れると安易に思い、各種にチャレンジしたことがあるが、簡単そうでできない種類があった。アゲハチョウ類やシロチョウ類などサナギ越冬する種類は 春型や中間型になってしまう。
さらに南国の蝶類は 低温処理すると死んでしまうものが大半だ。
オオイチモンジの黒化型から話がだいぶそれてしまったが、異常型の好きな私は現在230個体を所持し、今年も7頭の異常型を採集したが 基本的に飛翔時に異常型を見抜くのは、 同じ種類の飛翔に比べ弱々しく飛翔している。このような個体は異常型の確率が非常に高いことを覚えておき、飛翔活動がおかしいと感じた個体は絶対にネットインしての確認が必要である。
俗に言う一般種とは個体数が多く、ネットインもしない見慣れた種類でも飛翔活動にはチェックが必要で、個体数が多いほど異常型の確率も高いものだ。
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