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2012年9月14日 (金)

オオルリシジミ

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一番好きな蝶は

よく聞かれる質問である。
私の好きな蝶はどちらかと言えば大型の蝶より、小型なシジミ蝶類が好きで、オオゴマシジミ、オオルリシジミなどは特に好きな蝶であるが、あえて二者選択をと言われればオオルリシジミである。

オオルリシジミとの出会いは小学3年生の時である。

長野県諏訪市育ちの私が蝶採集を始めたのは、当時春先から秋まで、毎月のように父が家の山を見に行くお供をしたことからだった。
当時オオルリシジミは、諏訪市の平石山、池のくるみ辺りでは結構広範囲に、普通に見られた蝶であった。家の山は平石山の近くにあり、クララが自生し、先端に静止していたオオルリシジミを探しだした時の感動は子供ながら感動的な出来事であった。

この蝶を採るにはまず食草であるクララを探すことから始まる。
クララは他の草より背丈が高く、色彩もより緑が深いことから遠目からでも判別でき、探しやすい植物である。
また、この草は「ウジ殺し」という別名があり、これはまだ水洗トイレがない時代に、束にしてトイレに投げ入れウジを殺す習慣が田舎ではあったからだ。

10年ほど前に絶滅危惧種として採集が禁止されるまでは、多分関東甲信越の生息地は私が1番詳しいだろうと自負するほど探索、調査に時間を費やしたものである。
採集禁止になった長野県では一時絶滅したと思われていたが、これは有名産地は乱獲、開発、さらに耕地や河川敷などの草刈りがカマで手作業で行われていた頃は、クララには毒があると刈り取られなかったが、農機具の開発による一網打尽の草刈りでクララも刈り取られてしまったりしたことから絶滅した産地も多く、絶滅が囁やかれたが、完全に絶滅した訳ではなく、細々と生き延びていた生息地も少なくはない。

現在では、東御市の保護活動から飛び火的に絶滅産地の復活、以前からの生息地を含め、長野県だけでも東御市、佐久市、小諸市、立科町、千曲市、安曇野市などに26ケ所、放蝶であろうが昨年話題になった飯山市の2産地を含めると30ヶ所近い生息地が存在している。
さらに新潟にも、いずれも個体数はすくないが生息地が点在している。

オオルリシジミは発生初期はクララに固執し、♂は♀の発生まで朝夕はクララに静止している。
交尾が終わると引き続き♂はクララに固執し周辺にはいるものの、クララに静止することはなくなり、周辺の草に静止している。
一方♀は交尾後もクララに固執し、かなりの間、産卵がおわるまではクララに静止している。
オオルリシジミの吸密源はムラサキツメグサ、ヒメジョオン、時にはヤグルマソウなどを好み、クララの花が咲く頃にはオオルリシジミはすでに末期になっている。

日中の活動は交尾が終わった時期には活発に飛翔活動がみられ、飛び方はかなり素早く、草地の上スレスレに飛翔する蝶道もみられる。
田畑の上や農道沿いに飛翔してくる個体はモンキチョウに酷似してみえる。

シジミ蝶としては大型で、クララの自生する草地を歩き、静止している個体を見いだした瞬間や、驚いて飛び出し軽やかに飛翔する姿を目にした時はいまだに興奮を覚えるほどである。


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