« カタクリ 春を探しに! | トップページ | 水晶 »

2012年10月 1日 (月)

ウスバシロチョウ [完全黒化型]

121001_171401_2

121001_171302_4

121001_171301

121001_171101_3

121001_171001_2

ウスバシロチョウほど個体・地域変異が多い蝶はいないだろう。

完全黒化型!

完全白化型!

なみだ紋型!

目玉紋型!

赤色班型!

日本一大型!

貴方はいくつの型をご存知だろうか?

完全黒化型は翅全体が真っ黒になる個体!

完全白化型は翅全体が真っ白に!

赤色班型は翅全体が赤褐色になる個体!
なみだ紋型とは上翅表中室下に黒点が現れ、中室を目とするとなみだを流しているように見える型!
目玉紋型とは上翅表中室にまん丸い多少大きめな黒点が現れ、中室を目とすると目玉のように見える個体である。

日本一大型個体は他地域の個体と比較しても二回り以上大きな、文字通り日本一大きな個体群である。
これらを一箱の標本箱に並べると、まるで何種類かの別の蝶が並んでいるようにさえみえる。

これらの型の中でも特に完全黒化型は習性さえも異なり、羽化直後の新鮮な個体は、習性を知らない人が生息地で探索してもまず採集はできない。

完全黒化型の生息地域は新潟県をはじめ各地に点在しているが、福島県南会津地方の柳津町、三島町、金山町が多産地だ。
この地方では田畑の周辺、山裾を走る只見線沿いの空間など至る所にウスバシロチョウは軽やかに飛翔している。

広範囲の生息地の中から採集の狙い場所を決めるのは採集者の勘。

初めてこの地方のウスバシロチョウを狙って採集に行くと、他地域に比べて黒化が進んだ型が多く、全てが黒化型だと思い片っ端からのネットインになるだろう。

そんな黒化型の中でも極端に黒化が進み、ほんの僅か白い部分が残るだけで、他の個体と比較したらこの個体が完全黒化型と勘違いする人がほとんどである。

というのも飛翔している個体、ネットインする個体の中にはこれ以上の黒い個体はいないからである。
???と思われるだろうが、これが習性を知らないと、ということで完全黒化型は発生初期は飛翔しないのだ。
では如何にして完全黒化型の個体を探すか。

草地の上を夥しい数のウスバシロチョウが飛翔し、これらの飛翔活動を注意深くみていると、全ての個体が小さな円を描くように旋回しながら飛翔している。

草地の上をスレスレに旋回していた多くの個体がある地点を探し出すと、一斉にその地点の草地に飛び込むように地上に群がる。

この地点に完全黒化型の羽化直後の♀がいるのだ。
群がった♂のなかから運の良い♂が交尾できる状況なのである。

中には♂が群がった瞬間物凄い早さで直線的に飛翔する個体があり、それを追いかける個体とが10〜20m先で草地に。

よくみていると、凄い早さで飛翔する個体の先には真っ黒い個体が飛翔しているが、追いかけている個体は目に飛び込んでくるが、普通に採集していたら、何かに驚いて1匹のウスバシロチョウが素早く飛んでいるくらいにしか感じず目を離してしまう。

追いかけられている真っ黒い完全黒化型の個体はそれほどみにくく、この逃げている個体は交尾済みの♀で、♂の交尾活動から逃げているのであるが、完全黒化型は飛翔能力が弱いのか、長くて10〜20m直線的に物凄い早さで飛翔すると落ちるように草地に降りてしまう。

完全黒化型の採集にはネットは使用せず、目で探し、指先で摘まむのである。

普通のウスバシロチョウ[他地域に比べたらかなり黒い個体である]が草地スレスレに旋回し、草地に飛び込むように群がった場所、物凄い早さで直接的に飛翔して降りた場所には必ず完全黒化型の個体が見いだせる。

百聞は一見に … で、これ以上は文章にしずらく、ぜひ一度自分の目でこの習性の異なる完全黒化型を探し出してほしいものである。

ウスバシロチョウ、されどウスバシロチョウで、この型の採集にはまると毎年繰り返さずにはいられないほど追い求めるようになってしまう。

備考

蝶屋では毎年完全黒化型の採集ツアーを開催している!

ぜひお問い合わせを!!

« カタクリ 春を探しに! | トップページ | 水晶 »

蝶の生態」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ウスバシロチョウ [完全黒化型]:

« カタクリ 春を探しに! | トップページ | 水晶 »