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2012年11月 5日 (月)

ウラキンシジミ!忘れられない光景 パートⅠ

蝶が群れ飛ぶと言われて何か思い浮かぶ人がいるだろうか?
オオムラサキが鳥を追いかける縄張り活動!
1匹を猛追する、追尾から数匹が飛び交わす占有活動!

なにかジャレ遊ぶように見える卍飛翔などゼフィルスやシジミ類、セセリ類にみられるような、複数の個体が入り乱れて飛翔活動する様子はみなさまも何回も目にしているだろう。
それでも多くて4〜5頭、数頭が空中高く群れて飛ぶアオスジアゲハは、一瞬フタオチョウが空中でフォバリングしているようにさえみえる。

多数の個体が乱舞する様は、マダラ類が寝床となる樹木の周辺や、シロチョウやアゲハ類が集団吸水している群れを脅かして一斉に飛び立った時などであろう。
このような群れている光景は集団吸水などで目にすることは年間何回かは目撃するが、群れて飛ぶ光景となると別だ。
私は10年以上前になるが、長野県富士見町の弓張川流域の田畑脇の森林でゼフィルスの採集をしていた。
この地域はゼフィルスの宝庫で、10種類以上が採集でき、特にメスアカミドリシジミの♀は前翅に大きな赤斑は当たり前だが、後翅中央と尾状突起付け根にも赤斑が出現するという特異なタイブである。
さらにウラキンシジミの♀も翅表にうっすらと赤斑が出現するという特異なタイブも出現することから、ゼフィルスのシ―ズンにはよく訪れる地域である。

この日も満足する採集ができ、2時も過ぎ、そろそろ帰ろうとした時、同行していた地元の蝶友が「柿澤さん、時間ある? 面白いものを見せてあげるからもう少しいようよ」と。

???・・・!

こんな耕地の脇にある森林でなにが?   と首を傾げながらも採集を続けていた。

「柿澤さ〜ん!そろそろだから、こっち!こっち!」と。

林からちょっと離れた草地に腰かけて林の上空を見ている。

何がなんだかわからないまま、隣に腰を落として聞くが、笑いながら「すぐわかるよ」と。

3時を過ぎ、何もないまま時間が経過していく。

すると、森林地帯の上空をまばらに小さな、虫のような物がわずかに飛び交っている。
確認しようと立ち上がり、飛び交う方に近ずきだすと、それまでまばらだったのがどんどん増えだしていく。

足をとめ見上げていると、それは蝶であり、シジミチョウであることが確認できたが、飛びかたが早く種類までは判別はできない。

「ウラキンシジミだよ、もっと凄くなるよ」と。

直後、ものすごい数が森林の上空を飛び交う光景が。 見入っていると、いきならバラバラに飛び交っていたのが一団となり、群れをなして森林の上空を飛びだした。

ムクドリが黒い固まりのように波打ちながら上空を飛ぶ様を思い出してほしい。
大げさではなく、まるでムクドリの大群そのものなのだ。   こんなにウラキンシジミがいるのかと言うほどの凄い数の群れが、乱れることもなく黒い帯と化し、ものすごいスピードで飛んでいる。

長い蝶との付き合いでいろいろな光景を目にしてきたが、この光景だけは忘れず、いまでも目に焼きついているほど衝撃的であった。

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