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2012年11月12日 (月)

秘境・秋山郷!

秘境・秋山郷!
志賀高原の岩菅山から発した雑魚川と新潟県内にただひとつ他県に源をもつ魚野川が秋山のいちばん奥の切明で合流し、千曲川の支流、中津川となり、この中津川は左岸に急峻な鳥甲山[2038m]、東側には信越国境の山、苗場山[2145m]の間を流れ、新潟県中魚沼郡津南町大割野で信濃川と合流する。この深い渓谷の谷間にある長野県下水内郡栄村に位置する下赤沢、屋敷、和山、切明 上の原の五集落。
それに新潟県中魚沼郡津南町の大赤沢、前倉、上結東、中ノ平、見倉、清水川原、逆巻、穴藤の八集落を合わせた十三集落を総称して秋山郷と呼んでいる。

冬季の積雪は3〜4mに達し、根雪は11月〜5月の半年に渡ることから、以前は交通機関は途絶し、陸の孤島となった。   
厳しい自然は、豊かな山の幸、川の幸とはいえ、自然採取の自給自足の生活であれば、一度の天災は人々を恐怖におとしいれた。
1783年、浅間山大噴火による大飢饉では下赤沢では173人が死亡。
大秋山、矢びつの2村が全滅、さらに10年後の大飢饉で甘酒村も滅んだ。

現在でも冬季には津南町から切明への国道405以外には秋山郷への交通ルートはない。
こんな秋山郷に興味をもったのは蝶の文献からである。
信州は蝶の宝庫と呼ばれるくらい、多数の本に各地の生息種など詳細が記されているが、どんな文献にも[秋山郷では6月にギフチョウがみられる]と紹介されているのみで、詳しい記載は一切見あたらない。
信州育ちの私でさえ、秋山郷が何処にあるのか?どんな所だろう?交通機関は?と全く知らない地域であった。
東京から遠いな!   どのくらい時間がかかるのだろう?
どんな蝶がいるのだろうか?
考える始めたら調査をするのみと、春から秋まで年間4〜5回の調査を始め23年が経過した。 調査を始めて.17年が経過した2006年に蝶の生息種類、生息地、さらに歴史、温泉、食、宿、幸、彩、湯などをまとめた[秋山郷]を出版。

豪雪地帯の秋山郷は今でも3〜4mの積雪があるが、唯一の生活道路である国道405は冬季になると、国道脇を流れる沢の流れを変え、国道に沢の水を流し積雪や凍結を防いでいる。
国道の両側は雪の壁となり、国道は川となって激しい流れとなる。
時には塞き止められた沢に住み着いていた尺岩魚が国道上を泳ぐ光景さえみられることがある。

これほど積雪量の多い地域であるから春が遅いと思うのが一般的であるが、長野県側の秋山郷は各集落には必ず日帰り温泉があり、特に切明では河原を掘って露天風呂を楽しめる。 温泉が各集落にあることから想像しても地温は高く、5月初旬にはギフチョウがみられる。
長野県の秋山郷を代表する蝶はギフチョウ、カラスシジミ、フジミドリシジミ、オオゴマシジミ、オオウラギンスジヒョウモンなどであろうが、ギフチョウ生息地は20ヶ所を越し、毎年確実にイエローテ―ルが出現する。希少種のオオゴマシジミでも10ヶ所を越す生息地を確認している。

ミスジチョウ類は大型化し、白帯が消失するような個体も多い。

8月第1土曜日に開催される盆踊りは下赤沢の苗場神社前の広場で行われるが、投光器一基の薄明かりの中で、拡声器を持った人が、この地の[のよさ節]をひたすら何回も何回も歌い続けるという豊作祭りは、閉ざされた秋山を垣間見ることができる。

残雪に映える萌木色の芽吹きから秋の燃えるような紅葉、豪雪の冬と1年中飽きることなく自然の奥深さを味あわせてくれ、民家、民具、方言、信仰行事、民話、民謡、狩猟、漁猟など、近代以前の遺風様式が伝えられ、豊かな民族学の宝庫でもある秋山郷は言葉では言い現せない魅力的な地である。

私のふるさと、とも言える定宿は下赤沢にある民宿・苗場荘 [0257*67*2136]
心暖まる宿である。

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