キベリタテハ!忘れられない光景 パートⅡ
その他にもアオスジアゲハ、ミカドアゲハ、シロチョウ類と、集団吸水する種類は少なくない。
また、セセリ類やタテハ類、ヒカゲ類などのように集団で吸汁する種類も多い。
そんな中でも忘れられない集団吸水を見たのは、山梨県大菩薩山系の焼山林道での光景である。
10年以上前になるが、黒沢氏とキベリタテハ採集に焼山林道に行き、尾根下あたりで林道が二股に!
右方向に行くと行き止まりの駐車場から湯の花峠への登山道を登ると黒岳方面、大峠方面へと分岐する。
林道の二股からこの湯の花峠の駐車場辺りまでもキベリタテハの採集ポイントが点在し、二股を左方向に向かうと、当時は日川林道への周回林道を造る工事中であった。
この林道沿いも工事による通行止めまでのいたる場所でキベリタテハがみられ、ほとんど平坦な林道は最高のキベリタテハ採集地であった。
この日も林道を行き来しながら満足の採集ができ、昼過ぎには帰路につくべき林道を戻っていた。
二股近くは当時セメント工場の砂置き場があり、大型車が出入りしていたため、ある程度の広場になっていた。
ここもキベリタテハの溜まり場で、好ポイントのひとつであった。
帰り道にはこの辺りに行くとスピードを落として周辺を見渡し、チェックするようになっていた。
この時もスピードを落として進むと、広島脇の湿った場所に黒い固まりが。
それも半端な数ではなく、楽に50〜60匹を越す集団なのだ。
キベリタテハはある程度好みの場所があり、林道の石垣などに数頭がたまっていることはあるが、こんな数が、体を触れあうように夢中で吸水している様子は見たことがない。
車の中からしばらく見いっていたが、静かに車を降りてネットを持って近づく。
ところが、アゲハ類などの集団吸水と違い、かなり近ずいても1匹も飛び立とうとしない。
近くで目にした集団吸水には衝撃的な感動を与えられ、またもしばらく見いってしまう。
これだけのキベリタテハの集団吸水は二度と見られないだろう!よくこれだけのキベリタテハが集まったものだと、ネットを被せ集団を散らかしてしまうのが惜しくなり、しばらくふたりで堪能したあと、そのまま静かに集団吸水の場所を後にした。
狙った蝶が容易に、しかも大量にネットインできる状態にありながら、その見たこともない衝撃、感動、自然の、生き物の素晴らしさに見惚れ、ネットを静かに納めたのは、私の長い蝶人生に於いて多分最初で最後であろう。
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