クモマツマキチョウ!
クモマツマキチョウは多くの生息地で条例により採集が禁止されている。
特に長野県では全域が規制されている。新潟県でも350m〜600mと標高が低く、発生の早いヒスイ峡も採集禁止。
それでも採集者には人気の高い種類である。採集禁止地域ではなく、気がねなくネットが振れ、採集の確率が高いのは山梨県南アルプス市の野呂川流域である。
ただ、この地域に行くには長野県伊那市戸台から南アルプス林道を専用バスに乗り、6月15日前後までは歌宿が終点であり、歌宿から北沢峠を経由して野呂川出会い、野呂川沿いにと、健脚の人でも約2時間前後歩かないと本格的な生息地まで行き着かず、さらに採集しなからの行程を考慮すると、余程健脚でなければ日帰りは難しい。
が、この時期には北沢峠の長兵衛小屋しか営業をしている山小屋はなく、あとは避難小屋での宿泊を余儀なくされる。
比較的ネットインの確率が高いのは山梨県韮崎市の小武川支流のドンドコ沢。
新潟県妙高市の燕温泉からの、太用切川上流の北地獄谷、惣滝の上下流域が狙い目である。
可能性のある生息地はかなりあるが、中でも山梨県北杜市の塩沢川上流はクモマツマキチョウとの出会いがなくても、ミヤマカラスアゲハ、スミナガシなど副産物が多く退屈しない生息地である。
クモマツマキチョウは朝ガレ場の草地や渓谷沿いで吸密活動をしながら、ガレ場や沢沿いなどの草地の上を軽やかに飛翔しながら下ってくる。
ある程度平地的な草地で再度吸密活動をしながら、周辺を行き来してから11:00前後になると背丈前後の高さを下流へと飛翔が始まる。
13:00から14:00前後になると、下流から上流への風に乗り、一気に上流へと舞い戻ってくる。
時には上流への風に乗り、羽ばたきもせずグライダーのように一直線に飛翔してくるので、ネットを吹き流しのようにして飛翔方向に遇わせるだけでクモマツマキチョウが飛び込んで来ることさえある。朝方はガレ場などから草地の上スレスレに飛翔してくる個体や、沢との出会いなどから自分が立つ比較的平地の草地などを注意深く探索し、その後は渓流沿いを下ってくる個体、昼前後からは目線を下流に向け、下流から舞い戻ってくる個体を狙うのが効果的な採集法である。
また、クモマツマキチョウは発生初期には羽化後2日前後は羽化した場所周辺にとどまる習性があり、朝方ミヤマハタザオの花などに静止している個体をみつけたら、注意深く周辺の花などに静止していないか確認する必要がある。
採集時に覚えておかなければならないのは、条例のない山梨県に限らずクモマツマキチョウが生息する地域は国立公園内の場合が多く、クモマツマキチョウなど蝶類は条例がない地域では特別保護区でない限り採集可能であるが、草木は国立公園内は全て採取が禁止されているので、卵を探したり、食草としてハタザオ類の採取は警察沙汰になり、今年も山梨県の国立公園内てミヤマハタザオを採取して書類送検された実例もあり、軽い気持ちでの採取は要注意である。
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