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2013年2月25日 (月)

アリと共生する蝶・パ―トⅣ オオゴマシジミ

アリと共生する蝶・パ―トⅣ           オオゴマシジミ
オオゴマシジミの成虫は7月中旬からみられ、生息地によっては8月中旬まで新鮮な個体がみられることもある。
幼虫は4齢までシソ科のカメバヒキオコシの花を食べ、以降はヤマアシナガアリの幼虫を食べ、幼虫で越冬する。
クロバナヒキオコシも食草と一般的には解釈されているが、主食草はカメバヒキオコシで、クロバナヒキオコシはあくまで代用食とは私の見識である。
クロバナヒキオコシが食草と認識されているのは、長野県などの多産地には生息地が一面クロバナヒキオコシという場所が多く、いかにもクロバナヒキオコシを食しているように見受けられるが、このような一面クロバナヒキオコシの群生地でも一角には必ずカメバヒキオコシの群落があり、産卵活動などをみられるのはこの自生地である。
カメバヒキオコシよりクロバナヒキオコシのほうが自生地を選ばず、また繁殖力が早いことから、陽当たりの良い斜面などは一面クロバナヒキオコシに覆われ、オオゴマシジミの格好な生息地になることから、クロバナヒキオコシが食草と勘違いされていると思われる。
オオゴマシジミは以前、栃木県、新潟県、群馬県、福島県、長野県などを探索し、多くの生息地を発見し、個体の比較をして、福島県の檜枝岐村の個体群が1番大きく綺麗だと言い続けていたが、最近は新潟県の奥只見湖周辺の個体群が1番大きく青鱗が光るような素晴らしい個体が多くみられる。

オオゴマシジミの生息地は伐採され堰堤工事が行われたような、人為的な作業が行われた場所に多いが、沢の荒れや、周辺の草木の成長などで自然消滅してしまう生息地も少なくない。
しかし、現在長野県、新潟県、栃木県、群馬県、福島県などには30産地以上を確認していることから、個体変異を求めての探索は楽しいと思われる。
また、オオゴマシジミやゴマシジミは大型の個体からルリシジミのような小型の個体まで様々であるが、これは2種とも共生するアリの幼虫を食べて成長することから、共生するアリの巣の大きさが左右しているものと考えられる。

オオゴマシジミは発生初期1週間前後、新鮮個体のうちは生息地内のカエデ類などの樹木の比較的大木の枝先や冠部などに静止して夜を過ごし、朝方静止する場所に陽が当たりだすと、下方の林道沿いや生息地内の草地の陽当たりのよい部分に舞い降り、その場に翅を広げて一時日光浴をして体を暖めたあと、草地の上などを飛翔し、さらに体を暖たためてから吸蜜活動に移る。
吸蜜植物にはオカトラノオやヒヨドリバナを好み、時にはヤブレガサやガクアジサイの花に飛来することもある。
オオゴマシジミが発生し、新鮮な個体の時期にはカメバヒキオコシはまだ開花していないため、カメバヒキオコシから吸蜜する次期になると、花穂に静止したまま夜を過ごすようになるが、この時期のオオゴマシジミはすでに新鮮な個体ではなくなっている。
初めてオオゴマシジミ採集に行かれる方は松本市の乗鞍上高地林道を狙えば間違いない。
7月20日過ぎの発生初期なら白骨温泉側から、7月末から8月上旬なら安房峠側から林道を歩けば道中に点々とカメバヒキオコシの自生地があり、大半生息している。
しかし、間違いなく複数の個体を狙いたいならピンポイントを知らないと難しい。

蝶屋主催オオゴマシジミ採集ツアーは8月3日〜4日から8月16日〜18日まで毎週末に長野県秋山郷、新潟県奥只見観湖周辺、福島県檜枝岐村など発生状況をみながら、いずれも一泊ないし二泊での開催になる。

オオゴマシジミに限らずアリと共生する種類は生息地がいずれも局地的、さらに活動時間などもある程度決まりがあり、採集は詳しい人と同行するか、採集ツアー参加が成果をあげる近道であると。

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