アリと共生する蝶・パ―トⅢ クロシジミ
クロシジミの産卵は、クロオオアリさえからんでいれば決まったホストはなく、茎のしっかりした下草や栗の木、エゴノキなど樹木の幼木の茎から葉端などが真っ白になるほど、物凄い量の卵が産み付けられている。
産卵状況を見ていると、1匹の♀でも長い時間産卵を続けているが、多数の♀が次々と飛来しては産卵をしていく。
面白いのは最初の1♀はクロオオアリが茎や幹を行き来する行動を30〜40cm離れた場所から5〜10分前後観察し、クロオオアリの行動を確認してからおもむろに産卵活動に移る。 しかし、その後次々に飛来する他の♀たちは、なんのためらいもなく産卵行動に移るが、先に他の♀が産卵している場合は先客の♀が産卵活動が終わるまで間近で待機し、順番待ちをしている。
幼虫は大半をクロオオアリの巣の中で過ごし、クロオオアリから口移しに餌をもらいながら成長する。
7月上旬から8月に成虫はみられ、草原地帯に生息圏をもつ地域ではゴマシジミと生息圏が重なる地域もある。
関東甲信越地方にもかなりの生息地が点在するが、個体変異は本栖高原や朝霧高原に代表される火山帯の安山岩などが地面に露出している地形の生息地に多くの個体変異がみられ、白化型、黒化型などが代表的な変異である。
関東甲信越地方では昔、クロシジミは話題にもならなかったが、20数年前に私がこの地域の生息探索を始め、何産地かの発見時から採集マップなどで発表し始めてから一気にクロシジミが話題になり、採集者も殺到するようになった。
今私が発見し、現在でも生息を確認している産地は、
新潟県4産地、長野県2産地、山梨県6産地、静岡県8産地、埼玉県2産地である。
« アリと共生する蝶・パ―トⅡ ムモンアカシジミ | トップページ | アリと共生する蝶・パ―トⅣ オオゴマシジミ »
「蝶の生態」カテゴリの記事
この記事へのコメントは終了しました。
コメント