オオルリシジミ!続編
オオルリシジミは長野県では5月下旬から、新潟県では6月初旬から、年1回発生する。
最初に♂が発生し、 1週間前後遅れて♀が発生する。
最初に発生した♂はクララに執着し、まだ花穂も出揃わないクララの先端に静止している個体が多く、夜もそのままクララの先端で過ごす個体が多い。
♀が発生し交尾が終わると、♂はクララから離れ、夜などもクララの周囲にあるスゲ科などの植物を好んで夜を過ごす。
交尾が済むとクララの花穂には♀が執着し、夜も花穂に静止して夜を過ごすが、雨など悪天候の時はクララの幹、根元に近い位置に移動している。
つまりクララの先端を占領しているのは発生初期は♂、最盛期以降は♀が占領している。
交尾が済んだ♀はクララのまだ固そうな花穂に1卵ごと産卵し、数卵産卵するとひととき吸蜜などしながら休み、再度産卵を繰り返す。 成長し、開いた花穂には産卵を嫌がり、脇から成長した若い花穂に産卵する。
卵は10日前後で孵化し、花穂を食し成長する。
3齢になる頃にはクロヤマアリやクロオオアリなど多くの各種アリ類が、幼虫から分泌される蜜を求めて集まり、幼虫の近くにくるアシナガバチやハエなどに攻撃をし、幼虫が保護されることから、天敵から身を守る一手段と考えられる。
ムモンアカシジミやキマダラルリツバメなどアリと共生する種類のような、幼虫とアリと特異的な深い関係はないようだ。
成熟した幼虫は赤みを帯びてくるので同じクララを食草として育つルリシジミとの判別は容易である。終齢幼虫は蛹化場所として、一般的に言われているような地面に潜ることは稀で、クララの根際や石のすき間、地表などで蛹化している。
オオルリシジミの吸蜜源はアカツメグサ、ハルジョオンを好むが、シロツメグサ、クララ、セイヨウタンポポ、カラスエンドウ、アヤメ、ナワシロイチゴなど意外と訪花植物は多く、自生していればミヤコグサ、人家の庭先などのヤグルマソウの花も好んで餌源とされている。
また、地面から吸水している個体も多い。
発生初期の成虫は♂♀とも、交尾が終わるまでクララに執着し、日中吸蜜に移動しても夕方になると発生地のクララ周辺に戻ってくる。
しかし、交尾が済み、産卵が終わると発生地のクララに執着することもなく、かなりの遠距離を飛翔し、草地のような場所を好んで遊び場にしているが、周辺には必ずクララが自生している。
飛翔時、離れた場所や上空を飛翔している姿、飛翔法はモンキチョウの♀そのものである。
撮影希望者は交尾が行われる時間帯の昼過ぎから夕方がお勧めで、この時間帯にはクララの先端で翅を広げる個体や、色々な仕草を見せてくれる個体のシャッターチャンスとの出会いが楽しめる。
« ギフチョウ4月の希少生息地狙い目! | トップページ | ギフチョウ! »
「蝶の生態」カテゴリの記事
この記事へのコメントは終了しました。
コメント