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2013年6月23日 (日)

キベリタテハ

驚異のキベリタテハ!
このキベリタテハは越冬?

今年の発生個体?
早すぎるよね!
???と考えるだろう。
これは2012年9月5日長野県伊那市釜無山麓・東谷 での採集品である。

採集目的の蝶は展翅したが、キベリタテハなどついでにネットインした蝶は冷蔵庫で寝ていて、時間ができた時展翅したり、三角紙で欲しい人がいれば譲ったりしている。
今日は久しぶりの休みで冷蔵庫の整理をしていた。
キベリタテハのタッパ―がふたつあり、 北海道から送られたタッパ―には40頭、長野県のタッパ―には28頭が入っていたが、なんと写真の1匹が動き出したのだ。
吸蜜どころか吸水さえもせず、三角紙に入れられ、全く動けない状況で9カ月と20日間、
なんという生命力。 ただただ驚くばかりである。

キベリタテハやクジャクチョウ、シ―タテハなど、同じ地域で生息する蝶は越冬場所も同じ場所を選ぶようで、ずいぶん前になるが、越冬している蝶をみたいと言われて、大菩薩に案内したことがある。この時、介山荘から大菩薩嶺へと向かう尾根道沿いに大きな岩が重なりあうような岩場があり、重なりあう岩と岩との隙間がかなりあり、ひとつひとつ覗いていくと、ひとつの隙間に集団で立ち並ぶように静止?仮死状態の塊を発見。
廃屋になった作業小屋などで1〜2頭の越冬個体は見たことがあるが、これ程集団越冬している様を見たのは初めてである。
さらに驚いたのは比較的横巾のある隙間には、よくみるとほかにもあとふたつの塊がある。
薄暗く、冷気を防ぐためか、それぞれの塊は比較的奥に位置し、判別しにくいが、懐中電灯で照らし出された塊をみて絶句!
小さな光の先に照らし出された塊はキベリタテハ、クジャクチョウ、エルタテハ、さらに小さなシ―タテハの塊が見いだされたのだ。
しかも塊は色々な種類が混ざることなく、それぞれが1種類ごとの塊なのだ。
それも寒い時に人間が身を寄せ会うように、隙間のないくらい体を寄せあうように塊になっていた。 一般的にキベリタテハやコヒオドシのような上昇蝶は、発生地の標高1000m前後からある程度集団で標高をあげていく。
キベリタテハは7月下旬から8月中旬、9月初旬くらい、大まかに三回くらいに分かれてダラダラ発生し、基本的に9月下旬前後には再度標高1000m前後の発生地に戻り越冬するが、最後に発生する個体群は尾根沿いでキリンソウなどから吸蜜し、そのまま標高を下げずにいる個体が岩場の隙間に集まっているのだろう。
それから越冬したとして、越冬態勢で寝ている月日は10月から4月一杯としても約半年間。
冷蔵庫で寝ていたキベリタテハは10カ月弱。
信じられない生命力にただただ驚くばかりであったが、6月などに極端に新鮮で破損もない、羽化個体と思えるキベリタテハをネットインすることがあるが、もしかすると、最盛期に何かの影響で越冬態勢に入り、そのまま10カ月前後寝たままの個体が自然界でもあるのではないだろうか。

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