山菜 今でしょう!
ギフチョウ採集地域は旬な山菜の宝庫でもある。
昔、私の親しい蝶マニアが、採集に行くのに奥さんの許可がとれず、いつも他の採集者が何時でも行かれることを羨ましがり、自分の立場を嘆いていた。
ギフチョウシ―ズンのある日、私が奥さんにお願いし、なんとか同行できることになった。
私は一計を案じ、その日はギフチョウ採集もそこそこに手頃な食べ頃の山菜、ヤマウド、タラノメ、ふきのとう、コシアブラなどを大量に採取した。
その山菜を友人に渡すと「名前も料理法も分からないから、女房は嫌がるよ」と。
「山菜は料理法が分からなければ天ぷらと言って渡せばいいよ」「量が多すぎるよ」「沢山あるから近所にあげればと」
案の定食べきれない山菜を親しい人や近所に分けたという。
「お宅の旦那さん、素晴らしい趣味があってうらやましいわ!また、お願いします」と近所の奥様方から誉められ、気をよくした奥さんは、それからは採集に行くように勧め、さらに毎回おにぎりさえもつくってくれるようになったという。
それからの彼は山菜やきのこを必死で覚え、時にはお花用の木の枝さえも持ち帰るようになり、奥さんも時には同行されることもあるほど今では蝶採集に?イヤ山に、自然にはまっている。
山菜、されど山菜である。
ギフチョウを採集に行くと[山菜取るな]という看板が設置された地域がよくある 。
あちこちで地元の人に聞くと、この山菜とは[ゼンマイ]のことであるという。
ゼンマイは山中にゼンマイ小屋を造り、シ―ズン中はこのゼンマイ小屋に泊まりながらゼンマイを採取し、さらにそこで湯がいたり、干したりまでも作業をすることがあるというほど、ゼンマイは生活費の稼ぎ頭であると。
だから、この看板がある地域ではゼンマイの採取はダメだよと教えてくれた。
当然ワラビやウドなども自然に見えても栽培されている場所もあり、山菜を採るにはそれなりのルールはあるが、採集時、林道沿いなどに自生する山菜は家で食べるくらいは持ち帰り、奥さんを喜ばせてあげてはいかがだろう。
タラノメ、ハリギリ、ヤマウド、ヨモギ、トリアシショウマ、ふきのとうなどは至る場所に自生し、さらに慣れてくると、アケビの芽、モミジショウマ、アマドコロ、ツルアジサイ、ヤブレガサ、コゴミ、アカコゴミ、シオデ、クレソン、ワサビ、アサツキ、ネマガリダケなど種類も多く、ギフチョウ採集をしながら採取できる山菜は最高の自然からのおくりものである。
山菜の基本的な食べ方は、最初はお浸しで、また、胡麻、酢味噌、マヨネーズなどの和え物で食べてみると、それぜれの【あく】が味わえれる。
山菜を来店される方に差し上げると、「あく抜きはどうするの」と聞かれることがあるが、あくが山菜の旨味であり、あく抜きは必要ない。
ワラビや筍の子などは販売店で灰汁までも付けて販売しているが、これは採取後時間が経過し、あくが蓄積されてしまうことからあく抜きをするためで、取りたての新鮮なワラビや筍の子はあく抜きなどしないで食べてみたい。
こんなに旨いのかと改めて新鮮な山菜の味を思い知らされる。
試してみたい簡単な料理は、誰でも知っているであろうタラノメ。
天ぷらしか食べ方がないと思われているが、天ぷらにするには小さすぎる芽もあり、そんな小さなタラノメは湯がいて酢味噌和えが絶賛! また、大きなタラノメやネマガリダケなどの筍の子は豪快に素焼きして、焼けた黒い皮の部分を取り除き、塩をつけて食べたら野趣満点の味を堪能できる。
さらに、ふきのとうは細かく切り、味噌と合わせ、ミリンを加えながら、多少の油で炒めでふき味噌の出来上がり。
これを焼き魚や冷やっこなどにつけて食したら最高の味に変身する。
山菜は扱い方次第で主役でもあり、名脇役にもなれる幅広い食材である。
蝶採集に奥様や家族から気持ちよく送り出してもらうために、少しの山菜を、少しの愛を込めてお土産にしてみてはいかがだろうか。
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