オオイチモンジ
7月の声を聞くと、夏山!高山蝶の季節である。
高山蝶=天然記念物=採集禁止!
という方程式ができているが、これは長野県などに限られた範囲であるが、ダメと言われると採りたくなるのが私?
いやいやみんな同じだと思われるが。 で、採るの? と聞かれれば、採るよ!と即答!
ただ警察沙汰になるのはイヤだから、条例のない地域で探す。
私が高山蝶の中で1番好きな蝶はクモマベニヒカゲだが、これは基本的に本州では八ヶ岳山系の一部、山梨県側で採集可能な生息地があるが、今の私には登山するには無理があり、採るのは北海道。
本州でダメだから北海道なのだが、北海道のクモマベニヒカゲを採ると、これが本州とは比較できないほど渋く、魅力的ではまってしまっている。
オオイチモンジに話を戻すが、私が初めてオオイチモンジを採集したのは長野県の扉峠である。
小学生の低学年の頃、は三才の時に誘拐れ、諏訪市の警察から消防士までもが捜査に加わる程の大騒ぎになったという過去があることから、蝶採集もひとりでは当時の汽車に乗ることは駄目、バスも諏訪市内から霧ヶ峰までと制限されていたことから、行きたい美ヶ原には和田峠を抜け扉峠経由で歩いていかなければならなかった。
何回もチャレンジしたが、いつも時間の関係で扉峠から引き返すというパターンであった。
この時も扉峠で採集して帰ろうとネットを振っていると、林道の下の沢筋から生える柳の木の冠部が丁度林道に立つ私の目線くらいになり、その冠部の周囲を大きなイチモンジチョウが旋回している。
デカイイチモンジチョウだと夢中でネットを振り何匹かを採ったが、とにかく蝶を採るのが好きで休みにはいつも山に採集に行っていたが、まだ図鑑も真剣に見たことがなく、この時点ではオオイチモンジだとは気がつくこともなく、とにかく大きなイチモンジチョウに夢中になっていた。
何匹か採ると大きなイチモンジチョウもたまにしか姿を見せなくなり、おにぎりを食べていると、林道の低空をバカデカイ、やたら太い白い帯があるイチモンジチョウがゆっくりと飛んでくるのだ。
今まで見たこともない、デカイ、白いイチモンジに目は釘付けになり、射程距離に入った瞬間、思い切りネットを振っていた。
ネットの中で暴れるこの見たこともない蝶を傷つけないように取り入れ、手にして見ても、なんだ、このバカデカイイチモンジは?と興奮しながら三角紙に入れることさえ忘れて見惚れていたほどである。
子供ながらに、もっと採りたいと時間が許す範囲粘ったがこの日はこれが最後であった。
帰りのバスの中で三角ケ―スから取り出して、笑いを、歓喜の叫びをこらえながら、長い時間見とれていた。
バスが駅に着くころになって初めて、もしかしたらオオイチモンジ?という考えが頭に浮かんだ。
という想い出深いオオイチモンジ初ネットがあり、この種の生息地の探索は随分長年やってきたが、現在採集可能で生息地がわかっているのは岐阜県の高山市日和田高原や新穂高温泉郷周辺では採集できる可能性が高い。
極端に個体数が少なく採集が難しい生息地であるが、私が好きで狙うのは福島県檜枝岐村。
この地域には新潟県との県境、只見川に架かる金泉橋周辺、実川流域から七入、舟岐川流域などに生息地がある。
昨年はこの地域にオオイチモンジを求めて行っていないが、一昨年には上空を飛翔する♀を目撃している。
オオイチモンジには寝床となる樹木があり、大半柳であるが、発生後、交尾をするまでは発生木から離れないが、産卵が終わると♀も発生木から離れ、夜は寝床となる木で夜を過ごすようになる。
沢筋などに生える柳でキマダラヒカゲやコムラサキ、エルタテハなどが頻繁に出入りする柳は大半樹液が出ていて、このような柳が寝床として利用される。
寝床の柳の枝先には♂が夜を過ごし、♀は幹や太い枝に静止して夜を過ごす。
朝陽が当たりだす、時には日の出前から♂は冠部を旋回しては枝先に止まる行動繰り返し、♀は飛翔することなく幹や枝を這い回る。 その後♂は7時前後から活発に冠部や枝先を旋回するが♀が活発に飛翔を始めるのは9時前後からであり、1番活発に♀が活動する時間帯は午後2時を過ぎてからである。
オオイチモンジの生息地内には必ず柳林があり、この林の端に自生し、なおかつ片側に空間があり、キマダラヒカゲなどが出入りしている樹液の出ている柳を探しておくと、日中でも♀が集まる傾向がある。
オオイチモンジ採集に欠かせないのがトラップであり、効果的なトラップはパインを輪切りにし、さらに小さくし、バナナは皮のまま三つくらいに切り、焼酎で浸ける。
さらにあればマレーシアの調味料、ベラカンを削って混ぜたら♀も大好物だ。
なければバナナだけでも効果はある。
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