2013年5月18日 (土)

ギフチョウ

今日は秋山郷での採集
秋山郷には新潟県秋山郷と長野県秋山郷の2県またがる地域の総称である。
新潟県秋山郷にもギフチョウは生息地が1ヶ所あり、この生息地は白樺林で林床は一面カタクリが咲き乱れる、ドラマの撮影に使いたいほどのロケーションである。長野県秋山郷にはウスバサイシン食いの生息地を含め、13ヶ所の生息地が点在している。
今年は4月末の寒波で打撃を受けたものの、5月初旬から発生が始まり、今日現在、末期を迎えている産地、♀の最盛期を迎えている産地、発生初期、未発生の産地と雪解けにあわせて発生状況は異なっているものの、かなりのボロから羽化直後の新鮮個体まで、同一生息地でもバラツキがみられる。
多産地の飯山市の関田峠は狙い目も、隣接する野々海は残雪でまだ進入禁止だという。
新潟県もダラダラ発生で六日町などでは新鮮個体を含めて容易に二桁採集が可能であり、魚沼市や南魚沼市などは狙い目である。
両市とも低地から高標高地まで生息地が点在し、発生状況をみながらの採集が可能な地域である。
この地域の生息地がわからない人は、国道352、湯之谷温泉郷を檜枝岐村方向に進み、佐梨川を渡る銀岳橋の手前右側の林道に入ると、佐梨川の支流・長瀬沢沿いの林道は行き止まりまで広範囲にギフチョウが生息している。
道中気をつけながら進むと林道沿いを飛翔するギフチョウと出会えるので、密度の濃い地域での採集がお勧めである。最近は暑い日が多く、林道沿いばかりでなく、粗林内にも目を配らなければならない。
ギフチョウ末期にはミヤマカラスアゲハも多く楽しめる生息地である。

ギフチョウ

昨日から長野県木島平村での採集
木島平村には生息地が大まかにわけて4ヶ所あり、各生息地は広範囲にわたり、1生息地のなかには多くのポイントがある。
各生息地ともすでに♀の発生も始まっているが、いずれも個体数は多くなく、まだまだ雪に覆われている生息地もあり、また昨日は晴天も風が冷たく、最初の飛び出しは10:30amという遅さであった。
宿泊地のペンションのオーナーの話では4月下旬の寒波で20cmくらいの降雪があったということから、寒波の影響があったことも考えられるが、他地域の生息地でも雪解けした場所から発生をしていることから何れもダラダラ発生である。
個体数が少なくても新鮮個体を狙うか、 多少スレやカケなどの個体がまざっても遅めに狙えば個体数は多くなる発生状況である。
今日は秋山郷に移動採集である。

2013年4月26日 (金)

意外と遅れている福島県ギフチョウ

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関東甲信越のギフチョウ発生は早く、神奈川県や長野県などでは3月から発生が始まっていた。
そんな状況から福島県西会津町は通常4月23日には発生が始まることから、今日26日は最盛期ではないかと黒沢さんと小林君との3人で むかった。
道中会津若松辺りは桜が満開。
満開の桜を見て、会津若松が桜が満開ということは、ことは、西会津の桜は全く咲いていない、イコール未発生。
と、嫌〜な予感が一瞬頭をよぎる。

西会津町の発生状況を判断する目安として、IC出口付近、用水路脇の桜、鳥追観音周辺、さらに、田んぼの畦にある古木、町営駐車場の桜など、何ヵ所かの桜の開花状況で判断できるが、何処の桜も全く咲いていない。
大久保集落から林道に入ると、林道には冬場に落ちたであろう小枝などが散乱し、まだ道路整備されていない様子が、さらに日陰には残雪も多い。
林道を進み、耕地を過ぎて、本格的に山に入りだした途端、目に飛び込んできたのは道路一面を覆う残雪。
たいした量ではないだろうと判断した黒沢さんは、強引に残雪に車を乗り入れる。
何回か繰り返しながら突破を試みるが、何回目かに車のボデイが残雪に乗り上げてしまい、タイヤは空回り。
タイヤ下の雪を取り除いたり、小枝を挟んだり、あげくの果てには畑を整備している人からシャベルを借りて雪を取り除くなどの作業を1時間近く繰り返すも相変わらず空回りするタイヤ。
晴天のギフチョウ日和、これ以上時間を割くわけにはいかず、車を放置し、帰りまでには雪も多少溶けて脱出できるようになるだろうと、採集準備をして歩きだす。
晴天高温、最高のギフチョウ日和であるが、周囲の樹木は芽吹きさえ見られず、林道沿いは残雪に覆われている範囲も半端ではない。

午後1時までの調査で、とにかく樹木の芽吹きや地上植物の芽吹き、残雪などから判断し、最盛期は5月初旬の連休ではないかと思われる。
帰りには車はなんとか自力で脱出でき、 シャベルを返しながら話を聞くと、今年の雪は物凄い量で、昨年の比ではなかったという。
福島県西会津町を初め、柳津町、金山町、只見町、長野県秋山郷、木島平村、栄村など豪雪地帯と呼ばれる地域は、関東甲信越の早い発生状況とは違い、発生の遅かった昨年以上に発生は遅れる状況であると判断をさせられた。
明日からの大型連休にはこれらを含み採集地の選択を考えなければならないだろう。

2013年4月25日 (木)

おのれナポレオン

おのれナポレオン

おのれナポレオン

今日は
作・演出 三谷幸喜
出演 野田秀樹
     天海祐希
     山本耕史
     浅利陽介
     今井崩彦
     内野聖陽
東京芸術劇場プレイハウスにて開演されている
「おのれナポレオン」 を観劇に、新海君ご夫婦と行ってきた。

この舞台、凄い人気でチケット販売直後に空席がなくなるほどで、私も手配したがチケットを確保することができなかった。

したかなく内野聖陽 さんに泣きつきチケットを手配してもらった。
何か硬く難しい舞台かと思いながらの観劇であったが、笑いもあるめちゃくちゃ面白い、見応えのある舞台であった。

昨年二泊三日で福島県のギフチョウ採集ツアーに内野さんが参加された時に新海君は一緒だったので内野さんと面識があるが、初めてお会いした奥さんは内野聖陽さんの大ファンということで舞台終了後楽屋に訪問することに。
芸術劇場初めてで楽屋が何処にあるのかもわからずいると、終了直後に「柿澤さんですか?内野がお待ちしています」と女性が席に迎えに来てくれた。
楽屋に行くと、ガウン姿の内野さんが笑顔で迎えてくれ、新海君の奥さんは写真を一緒に撮ったり、握手をしたりと興奮気味か?
山菜の大好きな内野さんへの差し入れは、行く前に揚げたタラノメ、ふきのとう、コシアブラなどの天ぷらと果物。
舞台終了後にはギフチョウを採りに、山菜の天ぷらを山中で食べたいとの話で盛り上がりながらも、今日は2講演であり、そうそうに引き上げた。
池袋駅で新海君と別れたが、別れ際に奥さんに握手を求めたが、内野さんの感触が残る手を差し出してくれることはなかった(笑)。

2013年4月22日 (月)

ギフチョウとスポーツカ―

ギフチョウとスポーツカ―

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新潟県ギフチョウ多産地採集ツアーは前回の記事で、ある程度の詳細を記したが、今回は余談を少々書いてみる。
このツアーには遠山さんのBWMと、スポーツカ―マニアの小林君の真っ赤な三菱 GTO。
途中合流の松尾さんは勤務先がホンダであるから、当然ホンダの四駆である。

小学5年の雄大君は、初のギフチョウ採集も興味津々であるが、スポーツカ―にも興味津々で、採集地への移動から帰京するまでの間も、小林君が運転する助手席にのり、名前も小林雄一と雄大。
まるで兄弟のような名前に話もあい、車中ではおおいに話が盛り上がったという。
雄大君、大人顔負けの渋さもみせ、夕食時のふきのとうと大根おろしの和え物やヤマウドのキンピラなどに「美味い」と舌づつみ。
お母さんは佐藤名人の延々と続く蝶談義に飽きもせず、話し相手になっていた。
お疲れさまでした。
別れ際に「雄大、もうお母さんいなくても、お兄ちゃんとおじさんがいればひとりでも採集にいかれるよね」という私に迷うこともなく「うん、大丈夫」と笑顔で答えてくれた。
また、帰宅してから見よう見まねでギフチョウに産卵を試みたところ、見事産卵に成功したとの連絡も入った。
今週末は、やはり小学5年のハ巻光君が参加。
また、楽しい時間が過ごせそうな週末からの連休が待ち遠しい。

ギフチョウ採集ツアー=新潟

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4月20日〜21日は新潟県でギフチョウ多産地採集ツアー。
ギフチョウ採集始めての参加者を3名、現地合流の人も含め総勢8名。
今回の参加者はギフチョウをみたい、採ってみたいという小学5年生の徳永雄大君をはじめ、とにかくギフチョウをたくさん採りたいというメンバーで、多産地である新潟県柏崎市での開催であった。
初日の天気予報はあまりよくなかったが関越トンネルを抜けると青空もみえだしあとは気温さえあがればど期待ができる状況になってきた。
柏崎市の目的地に着くと弱々しいながら陽射しもあり、期待感は高まるが、上着を脱げない寒さだ。
とりあえず生息地域内のポイントを案内し、私が考案したトラップを枝先に仕掛けていく。
このトラップは、一般的ギフチョウ採集者が使用するブルーのシ―トや布などと違うのは、これらのトラップはギフチョウを引き付けつける効力はあるが、近ずくだけで飛び去ってしまうが、私のトラップはギフチョウが絡み、さらに静止する個体が見られるほど効果的であり、多少離れていても、十分間に合うほどトラップから離れない。
事前にあった情報では、柏崎はすでに♂はボロ、破損個体も多いということから、私はすでに発生地から離れている個体が多く、こんな寒い日は道路上が太陽の熱で暖かいことから、狙いはこの道路上と判断し、大半の人は発生地から離れ、道路沿いのポイントで待機。
しかし、1番先にネットインの連絡が入ったのは発生地に残った佐藤さん。
私は多少歩き回りながら食草であるコシノカンアオイの新芽から卵を探して発生状況を調べるが、まだまだ、産卵するほどに成長した新芽は少なく、さらに他の地上植物の成長もとてもギフチョウがボロという状況は考えられず、私の判断では♂最盛期、♀発生初期と。
ということは多産地であっても新鮮個体はこの気温では寝床となっている樹木の枝先から離れて飛翔することは難しく、発生地内の可能性がまだ高いと思い、佐藤さんに連絡。
「もう5匹採ったよ」と。

ポイントに待機しているメンバーから離れていた私は雄大君を大声で呼び、発生地へ急行。
発生地に着くと私からの連絡で小林君も着いていて、「あの枝先に止まっていますよ」と高い枝先を指差す。
シルエットで枝先に静止する個体がすぐ目に入るが、私の5mの竿でも届かない。
多少待つが飛ぶ気配はなく、この寒さなら高い場所での飛翔はないと判断し、小林君が下の枝を揺すり飛び出させる。
案の定、体の暖まっていない個体はやっと飛ぶような弱々しい飛翔で多少離れた斜面の草地に舞い降りる。
佐藤さんの近くで待機する雄大君を呼び 舞い降りた地点に静かに近くずく。
小林君も他方向から地点に近くずきたすと足元からギフチョウが舞い上がる。
すかさずネットイン。
私と雄大は止まった地点で探すがみつからない。
雄大に軽くネットを振り、飛び立たたそうと、横を私と小林君で固め、雄大が振り逃がしてもホロ―できる状況に。
しかし、飛び出さない。「止まったと思ったのが地上を飛んだかな?」「同じ個体かな」と小林君がネットインした個体が同一個体であったのかなと話していた時、「ギフ」と 私と雄大が叫んだ瞬間には雄大がネットをかぶせていた。
なんと、二人の足元で、よく踏まなかったねという、本当に足元で一瞬翅を動かしたのだ。
満面嬉しそうな笑みを浮かべる雄大。   羽化直後と思われる、まだ、翅も弱々しい大きな綺麗な♀であるが、交尾は済ませていた。「やったね」と固い握手に力が入っていた。
発生地で採れるということは、多少窪地がある斜面で、カタクリが咲き乱れ、コシノカンアオイが多く、暖かいということもあるが、基本的には♀の発生個体数が少なく、♂は♀の羽化を待ち、交尾するために発生地域から離れていないという発生状況なのである。
道路上で待機しているメンバーの所に戻ると、ジャンプをした際、足首の肉離れをしてしまった遠山さんは、歩くことも容易ではなく、椅子に据わって待機。
一緒にいた松尾さんは2匹みたが、最初の1匹は逃がしたものの、1匹はトラップにとまりネットインしたという。
雄大のお母さんはトラップを仕掛けた桜の根元に静止した個体をネットイン。

昼過ぎには厚い雲で空一面は覆われてしまい、足の悪い遠山さんには採り頭の佐藤さんから1匹プレゼントされ、数は全員でやっと二桁と多産地でのギフチョウツアーとしては悲惨であったが、結果的には、10℃にも満たない気温で、花曇りの陽射しも弱い中でよく採れたと言ってもいいだろう。
その後は近くの生息地を3ヶ所案内したが、何れもまだ未発生と思われた。
早朝の出発と山中は寒さも厳しくなり、早めに宿に入る。 宿では雄大がギフチョウの飼育にチャレンジしたいということから、山で採取してきた小さなコシノカンアオイの新芽を利用して産卵をさせることに。
羽化直後の交尾、さらに直後のネットインかと思われ、新芽にお腹をつけての産卵行為はするが、卵を産むことはなく、産卵液しか出せない状況から、交尾後の時間の経過が短く、体内での熟成がされていないようだ。
産卵行為を頻繁にすることから、ストーブの側に置き、温めながら暗くして翌朝の産卵を待つことに。
「凄い雪だよ」という誰かの声に起こされ目にした光景は、一面の銀世界と、降りしきる大粒の雪。タッパ―の中野のギフチョウをみると、新芽の裏側には綺麗な10数卵の卵塊が産みつけられていた。朝食を済ませ、積雪量が多くなる前に帰ろうと話し合うが、 「高速道路はすでにチェーン規制がかかっている」と宿の主人が。
時間潰しに柏崎市郊外にある市場に案内。この市場は魚から山菜などの地元の旬な食材がメーンであるが、この市場だけしか食べられない [サバサンド]という、サバの半身をフライに揚げ、玉ねぎのスライスと一緒に、昔のコッペパンのようなパンにそのまま挟んだサンドイッチ。
朝食直後でもあり、持ち帰りようにしてもらうが、皆初めて見る大きなサンドイッチに驚いていた。
その後高速道交通情報をチェックしながら帰路に着いた。

長文講読ありがとうございます。

ギフチョウ発生状況のお問い合わせは遠慮なく。

2013年4月19日 (金)

ギフチョウ採集ツアー

今週末の土日から連続的に開催されるギフチョウ採集ツアーは、多産地域の新潟県から始まり、希少産地の福島県、秋山郷村、木島平村と、5月下旬までの土日や祝日などの連休を含むタイミングで開催される。

ギフチョウ人気を物語るように、参加者は申し込みだけですでに述べ50人を越している。
ギフチョウを沢山採りたい人、イエローテ―ル、イエローバンド、コズメアカオビなどの希少な型を求める人などを各ツアーに振り分け、7〜8回に分けての
ツアー開催である。
これらのツアーには舞台やTVドラマ、映画などで人気沸騰の内野聖陽さんや七瀬なつみさんなどの参加希望もあり、ギフチョウ採集をしながら山中で山菜の天ぷらパーティーを楽しみにされている。

また、今年は大人ばかりのツアーではなく、奥本先生主宰のファ―ブル会の子供たちにも門戸を解放し、二家族の参加もあり、通常夜は昼の採集の話題などで宴会が盛り上がっているが、子供参加の場合は要望があれば展翅教室なども開催している

子供と話をしていると、ごく当たり前で改めて考えることもないような質問もあり、原点に戻らされるような新鮮な気持ちになることもある。
ギフチョウ採集では我々大人より子供の方が、飛翔するギフチョウの発見がはるかに早い。
というのは、大人は地上スレスレに飛翔するギフチョウは上から目線になり、地上の落ち葉などと色彩が一致すること、枯れ葉に擬態していることから発見に時間がかかるが、子供目線では飛翔するギフチョウは地上との間に空間かあり、空間を飛ぶギフチョウを容易に見つけだすことになる。

今年の私は希少生息地の山梨県市川三郷町、なかでも旧市川大門町と長野県下伊那郡での希少個体群を求めて8日間出向き、両地域で予想を上回る成果をあげることができた。
この両地域での採集も終わり、これからの狙いは長野県木島平村、山之内町、秋山郷村などから福島県西会津町、柳津町、三島町、金山町、只見町と希少産地での採集となる。

当然採集ツアーがメーンとなるが、ツアー開催時にはガイドに徹しなければならず、個人的な採集は平日の日帰り採集となる。

これからが本格的なギフチョウシ―ズン となる生息地域も多く、まだまだギフチョウ便りで一喜一憂する日が続くことだろう。

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2013年4月14日 (日)

ギフチョウツアー・長野県下伊那郡!

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天候により一週間遅れの下伊那郡ギフチョウ採集ツアーは13日〜14日の土日に開催。
日程の変更から一部参加者の取りやめや、変更があったが、今回は私を含めて平均年齢43才という若いメンバーであった。
狙った産地は3月30日には発生が始まっていた産地であったが、開催予定日から一週間遅れも低温続きで間に合うのではないかという、希望的観測での開催。しかし、世の中そんなに甘くない。
稀に飛翔している♂は完ピンは全くみられず、♀は未交尾個体が多い。
これは交尾のすんだ♂は発生地から離れ、すでに散らかってしまったということで発生が遅かった♀は♂との出会いもなく、交尾相手も見つからないということである。

新鮮個体がまだ間に合う生息地を求めて、把握している生息地、阿智村、阿南町、泰阜村、下條村と記憶を辿っていく。
「最悪、岐阜県は?」という申し出もあったが、長野県下伊那郡周辺にこだわりたい私は、久しぶりではあるが、多少標高の高い産地をチョイス。
結果的にツアー初参加の石川君はリリースを余儀なくされる個体もあったが、予想以上の成果に大満足。
やはり初参加の小林君は自分の目でピンポイントを探し、今時42cmのネットで空振りも少なくこれまた大喜び。

車の運転で疲れている新海君は相変わらずの追及心から歩き回り、環境調査に余念がない。
それでも他の参加者と同等の採集をしていた。
さらに、羽化不全で飛べない♀にハンドペアリンクをし、飼育材料までも確保。
最終的に私の目には目がよく、個体を探しだすことに優れている石川君、センスとがよく、ネットインが優れている小林君、環境把握、探求心が強く、環境をみて発生地を探しだす見事さなど、若者のパワーを感じさせられながらも、全員大満足の若者のツアーであった。

2013年4月12日 (金)

ギフチョウハンモック採集・うたとまるちゃん!

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私も多くの人と採集を共にしてきたが、これほど優雅な?採集をする人をみたことがない。
優雅と言えば聞こえはいいが、私にすれば考えられないほどタブーな採集時間帯での行為である

私と出会い、最初にネットを持ったのは3年前の正月、ランカウイ島であった。 それ以来いきなり蝶採集にはまってしまい、今では私を上回る年間250日前後採集に行っているのが、今ではすっかり全国区になってしまった後藤まる美さん。 海外であろうが、国内であろうが、必ずハンモックを持参して採集地で張っているのだ。

ただ、張る場所は何処でも良いという訳ではなく、今が時期のギフチョウ採集時なら、朝はギフチョウの寝床となる樹木が一望できる場所。
ハンモックに横になり、樹木の枝先や梢をギフチョウが旋回し、体を温める活動が始まるのを待っているのだ。
これは非常に素晴らしいアイデアであるが、ギフチョウが活発に活動を始める時間帯になってもハンモックで横になっている

特に希少産地ではギフチョウが次々に飛び出してくる訳ではないので、待ちくたびれてハンモックに乗っての待機である。
飛翔するギフチョウが目に飛び込んできてから急いでハンモックから降りても間に合うことは稀にしかないことは明らかである。
こんな行動を何回目撃したことか。
多産地ならいざ知らず、1日に何匹かしか出会えない希少産地ではたまったものではない。

ハンモックから降りてまるちゃんが歩き回る時のハンモックの主は愛犬【うた】である。
まるちゃんがいない間はうたがハンモックから飛び降りることもなく、おとなしく、主同様に横になって待っている。
まるちゃんは私主催のツアーにはほとんど参加し、当初は同行メンバーも女性の採集者である物珍しさ、同行することを楽しんでいたが、最近のまるちゃんは【後藤まる美恐るべし】とライバル扱いである

確かに私が知る範囲でも、採集の上手い人、上位5人には入るくらいセンスが良い。
採集が上手いというのはネットインが上手いということばかりでなく、基本的には蝶を見つける目、すなわち環境を見る目である。
大半の人は狙う蝶が目に入った瞬間にはネットを振っている。確かに素早く飛翔 している個体はタイミングで素早く、的確にネットを振らなければならないが、吸蜜活動中や、吸蜜源、産卵の食草などを探し求めて穏やかに飛翔している時でも、見た瞬間にネットインしてしまう人が大半であるが、私は機会がある度に口にする【ワンテンボ遅らせろ】と言うのは、ワンテンボ遅らせることにより周囲の草花、環境が自然と目に焼きつき、この蓄積が蝶を探し出す環境を自然に身に付けているのだ。

ただ歩き回って蝶を探すのではなく、環境を探しだすということが蝶採集の上手さである。
環境が分からないと、歩き回っていても蝶がいなければ通過してしまうが、環境が読めると待機して蝶との出会いを待てるのだ。
採集時の道中「柿さんは、採りかたも教えてくれない」とよくまるちゃんに言われるが、昔のお弟子さんたちが、【師匠から盗め】と技や仕草を見て自分のものにしたというが、正に私と採集に同行していて私の行動をチェックし、さらに蓄えられた目、蓄積されている根拠に基づく勘が優れているのはまるちゃんが際右翼であろう。

写真はハンモックで休むまるちゃんとうた。
ギフチョウが寝床としている杉の大木。

2013年4月10日 (水)

ギフチョウ山梨県

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今日は狂言の人間国宝・山本東次郎先生をギフチョウ採集の案内。
以前山梨県のギフチョウを案内した時は狙った産地では全く見ることもできず、転戦した産地で大当たりし、先生は日帰り予定を急遽富士宮市に泊まり、翌日も採集したほどである。この当時は南部町や身延町、下部町などにギフチョウ生息地が点在し、採集は生息地さえ知っていればさほど難しいこともなかった。
しかし、富沢町と南部町が、身延町と下部町と合併し、両町ともギフチョウは採集禁止となってしまい、最近の山梨県で採集可能な地域は市川三郷町しかない。
しかし、この市川三郷町は生息地、個体数ともに少なく採集が極端に難しい地域である。
私の知り得る生息地を頭の中で回転させ、1産地ごとにチェックするが、間違いなく採集可能な生息地がなかなか思いつかない。
最終的に残った生息地は急登の登山道を1時間弱歩かなくれば登り着けない非常にハ―ドな生息地。
こんな厳しい行程の生息地だから、以前から採集者も入らす、最近は話題にさえならない生息地であることから絶対に今でも生息していると決めこむ。
行き先が決まったのはよいが、私は10年以上採集に行っていない生息地であり、もし採れなかったらという不安は拭いきれないものの、ここ以外に可能性のある生息地が思いつかないのだ。
マグロを求めて北は津軽海峡から南は先島諸島周辺、魚を求めて世界各地を釣り行脚している、釣りのプロ田原さんに車を出してもらい、希少生息地では採集者が多いほどギフチョウと出会えるチャンスが多くなることから、若く歩き回れる小林君を連れての四人パーティーで狙う。
6時に集まり、中央自動車道などを順調に走り、現着8時半 。
それぞれが準備をし、いざ登山開始となったが山裾は荒れはて、登山口さえわからない状況である。
以前はきちんとした登山道があり、一本道できつい登りであったが、その登山道がない。
方向を決め藪こぎをしながらの登山開始である。
藪こぎの大変さと、急斜面で足が滑り、悪戦苦闘しながら、さらに、帰りの道標をつけながら慎重な登山が始まる。
山裾のブッシュを抜け、粗林になり、なんとなく獣道のような登山道らしきが見分けられる状況になり、山頂を目指せる辺りで、登りに極端に弱い私は、田原さんに先導してもらい、他のメンバーに先に行ってもらうように話す。
みるみるうちに三人は見えなくなり、私はマイペ―スで登る。
3人が登りつけば山頂の周囲にある空間で大半目に飛び込んでくるギフチョウは誰かが狙い打ちできることから、私は山頂近くの多少空間の陽当たりの良い斜面に陣取りながら一休み。
山頂についているであろう小林君に電話で状況を聞くと「もう2匹採りました」と嬉しい報告が。
でも先生はまだ採れていないというが、とにかく生息が確認されたことで、時間の問題で先生も採れるだろうと、1時間弱のきつい登りも報われた。
斜面の下方、地面スレスレを、食草を探すように飛翔する大きな♀が目に飛び込んできた。
足場の悪い、というより落ち葉ごと滑り落ちるような急斜面を下るが、大きなギフチョウの飛翔地には追いつけず下方へと消えていった。
それでも目撃したことで一気に気持ちが高ぶってくる。
最初に狙った多少先に、さらに陽当たりがよく、多少平坦な、採集しやすそうな場所があり、様子を見に歩き出した瞬間、その場の地面近くを飛翔する個体を発見。
やった―!とすでにネットインしたつもりで、急いで近ずくと、ギフチョウは一気に周囲の高い樹木、サワラの梢へと舞い上がり、冠部の枝先を飛翔して静止したまま再度降りて来ることはなかった。
その後もわずかに飛翔する個体を見つけては駆け寄るが、いずれも樹木の上に舞い上がりネットさえ振れない欲求不満な状況が続く。
目に飛び込んでくるギフチョウは全部地面スレスレにわずかに飛翔しては高所に舞い上がってしまうという繰り返しで、地面から1m前後の空間を穏やかに飛翔するギフチョウがいないのだ。
見かける個体は飛翔からみてもすべて♀である。
ギフチョウ採集を長く続けているが、稀に高所に舞い上がってしまう個体はいるが、すべての個体が舞い上がってしまうということは経験がない。
この習性は♀が朝方、夜を過ごした杉やサワラなどの枝先から舞い降り、地面で日光浴をし、体を温める時に見せる習性であるが、再度高所枝先に舞い戻り静止する動きは、気温があがらなかったり、強風の時にみせる習性である。
しかし、今日は気温も高く、風もない最高のギフチョウ日和であり、全く考えられない行動である。
私はその後もネットインできないまま、小林君に電話をすると「はい、4匹になりました」と好調に成果をあげている。
なかなかギフチョウとの出会いに恵まれなかった先生も「柿澤さん見てと差し出された個体は大型な春のキアゲハと見間違えるような、物凄く大きなギフチョウの♀である。
ついに、それも特大な未交尾の♀を先生がネットインした。その後もメンバーは一喜一憂しながらの採集が続いたが、最終的に私は空間を飛ぶ個体を見ることもなく、当然ネットを横振りすることもなく、採集は地面にネットをかぶせるだけという状況であった。
みんなの採集数は楽に二桁を越したが、♂は1匹のみで残りは全て♀、しかも半分以上は未交尾である。
♂の発生が早く、交尾を済ませた♂はすでに散らかり、後日羽化した♀は交尾できないまま♂を探し求める行動が地面と樹木の高所を行き来する変則な行動とも考えられる。
昼前後から時々強風が、さらに花曇りが繰り返し、日差しが差さない時間帯があったりと、ギフチョウも見られなくなり、1時には下りについた。
10年ぶりの産地を訪ね、厳しい登り、足を滑らし何回滑り落ちたかという危険な行程での採集であったが、同行者の協力で全員ネットインでき、無事下山もできた。
車中で先生曰く「ギフチョウは本当に楽な採集か、物凄く厳しい採集かのどちらかだね」
という人間国宝ギフチョウ採集紀行でした。